気高きジョウルの膨らみ

去勢された牡猫の睾丸へ捧げる鎮魂歌

キャットフードとにわかアフィサイトの見分け方

Vocatus atque non vocatus, Deus aderit.
ねこブーム真っ盛りということで、ビジネスチャンスを逃すまいと新規参入してくる事業者も多いだろう。猫の生態を理解し、その福祉を高めてくれるような事業者は大歓迎だが、金儲けしか頭にない業者とのお付き合いはできればご遠慮申し上げたいものだ。
 

sippolife.jp

さらに猫の雌が犬と違うのは、一定の日照時間を得ることで繁殖が可能になる長日繁殖動物だということ。日本の気候では一般的に年2回、繁殖をする。ところが照明を当て続けると年3回以上の繁殖も可能になる。ある大手ペットショップチェーンは繁殖業者らに「年3回の出産は若い雌猫なら体調の異常を起こさない」などと説明し、1日12時間以上、照明を当てることで繁殖効率が高まる「技術」を紹介している。

 
その結果、猫の母体がどうなるか?獣医師であるOotori Rakuさんのツイート

 
さて、ネット上でも猫ブームに乗っかって、猫を扱った安っぽい記事に広告を汚らしくペタペタと貼り付けたサイトが増えている。
 
ブログに広告を貼ること、そのこと自体を批判するつもりはない。しっかりとした知識と経験と愛情に裏付けられたエキスパートが、購入してみて良かった製品の広告をブログに貼って紹介してもらえるのはむしろありがたいし、実際にそうしたブログ経由で商品を購入したことも多々ある。
 
同様にプロとしてしっかり取材したうえで記事を書くのであれば、何も言うことは無い。
 
しかし、多くは楽して稼げる金儲けの方法としてのアフィサイト運営なので、あちこちのサイトから美味しそうなところをつまみ食い、切り貼りして記事を構築しているに過ぎない。
 
猫の生態や習性になんか、これぽっちも興味の無い連中が記事を書いているので、断片的な知識を貼り合わせたところで、情報の正誤を判別する能力に欠けていて大抵記事のどこかしらに誤りがあったりする。こんな連中を儲けさせてやることなんかない。

にわかアフィサイトの見分け方

冒頭の悪徳業者とまではいかなくとも、猫を商売の道具としか考えていない愛情の感じられないアフィサイト運営業者の見分け方を一つ提案したい。
 
それはキャットフードのことを「エサ」と表現する事業者、アフィサイトである。
 
以下、理由を説明する。
出典:大島弓子(2000)『グーグーだって猫である 第1巻』 , p.103(部分).

出典:大島弓子(2000)『グーグーだって猫である 第1巻』 , p.103(部分).

 
大島弓子の『グーグーだって猫である』という漫画作品の中で、まだ猫と暮らしたことのなかった主人公が猫の食べ物のことを「エサ」と表現したのに対し、猫好きの友人が一瞬戸惑いを見せる場面がある。
 
後に猫と暮らすようになり、猫の喜怒哀楽に共感できるようになった主人公は、いつの間にか猫の食べ物のことを「エサ」と呼べなくなっている自分に気づく。そして、いつかの友人がみせた戸惑いは猫の食べ物に対する自分の乱暴な言葉によるものだったのだ、と理解するに至る。という展開をたどる。
 
この作品は雑誌『ヤングロゼ』に1996年から連載開始され、単行本が発売されたのは2000年になってからだから、実際の出来事が起こったのはそれよりもずっと前の事であろう。現在の猫ブームの20年も前のことなのだ。
 
昔は猫の餌と言えば、残り物のご飯に鰹節を混ぜたねこまんまのことだった。猫缶が普及し始めてからも、残り物のご飯に鰹節の代わりに猫缶を混ぜた猫缶ねこまんまが与えられていた。肉食獣である猫にとって炭水化物主体の食事では栄養が足りない。そこは今と違って、家と外とを自由に行き来していた猫は、昆虫やトカゲなどの小動物、ネズミ・モグラ・小鳥等を狩って栄養補給していたものと思われる。

猫の食べ物のことはなんと呼べば良いか?

しかし、猫が外でネズミ取りを期待されていた時代はもう昔のこと。今や家庭の中で家族同然に振る舞っている猫の食事に「餌」はふさわしいだろうか?
 
では、猫の食べ物のことをなんと呼べば良いのだろう?
我が家では、「猫のごはん」と言ったり、「カリカリ」や単に「フード」と呼んだりしている。区別する必要があるときには、「ドライフード」「ウェットフード」だ。動物病院で療法食を定期的に購入しているが、そこでのやりとりも同様で「エサ」等という言葉は聞いたことがない。
 
誤解しないでいただきたいのは、猫の食べ物のことを「エサ」と呼ぶのはけしからん!と、主張したいわけではないということ。猫好きでも何でも無い人が猫の食べ物のことを「エサ」と呼称しようが、なんと呼ぼうが一向にかまわない。ただ、猫好きの心情として、それを自ら「エサ」と呼ぶのはかなりの抵抗を感じると言うだけの話なのだ。
 
飼い主のそうした気持ちを配慮できない業者の書いている記事など信頼するに値するだろうか?使ったこともない猫グッズ、食べさせてみたこともないキャットフードについての記事が、どれ程参考になるのか甚だ疑問だ。そもそも、猫の飼い主の気持ちに無頓着なライター氏は猫と生活を共にしているのだろうか、或は、猫と暮らした経験があるのだろうか?

あり得ない写真を記事に使用するサイト

では、上記を踏まえてサンプルをあげてみる。
 
まぁ、思いっきり餌!餌!餌!って連呼してる記事(笑)なんだが、運営会社が設立されたのは2016年、まだ1年ちょっとしか経っていない。手掛けているサイトはペット、旅行、グルメ、就活と、その他にスマホアプリの開発…。
 
この記事の中ですごく気になるのが、床や地面に直接ばらまかれたキャットフードを食べる猫の写真だ。写真の構図やデザインやストーリー的なものを意識して、わざとフードを地面にばらまいたとはちょっと考えづらい。
 
なぜなら、写真映えするお洒落な猫用の食器はたくさんあるし、キャットフードの宣伝のための写真でフードを地面に直接ばらまいてしまっては、どんなに高価なフードでも安っぽいフードにしか見えなくなってしまう。失礼ながら、デザイナーとしても三流だと言わざるを得ない。
 
何故、床や地面に直接キャットフードをばらまいてはいけないか?
まず、食べ残しが掃除しづらい。というか、ばらまいてる時点で、食べ残しを掃除しようとする意志が全く感じられない。
 
時間が経てば食べ残しのフードは痛む。腹を空かした猫が痛んだフードを食べて、おなかを壊すことになる。ただでさえ栄養状態の悪い外で暮らす猫にとって下痢することはダメージが大きい。
 
残ったフードに虫やカラスやネズミがたかる。割れ窓理論じゃないが、不潔な環境を見て安易に真似をする人が出てくる。なりよりも、床や地面に直接ばらまかれたキャットフードは、まさに「エサ」と呼ぶにふさわしい、ちっとも猫に対する愛情が感じられない。